台湾人はいったい何語を話すの?

台湾に住んでいると「台湾は何語を話しているの?」と日本の友人によく聞かれます。

お隣の国なのに、どんな言葉を話しているのか、実はあまり知られていないようです。

「中国と同じ言葉?」「北京語は話せる?」「台湾語って何?」

そんな疑問を持っている人は少なくありません。

そこで今回は、とても身近な国なのに、案外知られていない台湾の言葉についてまとめてみました。

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台湾の漢字と中国の漢字は違う?

台湾の公用語は中国語です。

日本では「台湾華語」とも言いますが、台湾では公用語のことを「國語(guóyǔ)」と言います。

小学校や中学校では、日本語の授業を国語と言いますよね。ようするに日本語(公用語)の授業のことですが、台湾でも同じように、国の公用語のことを國語と言います

中国で使われている中国語(普通語)と、台湾の中国語(國語)の最大の違いは“漢字”です。

中国語を勉強している人のほとんどは、中国で使われている普通語、つまり「簡体字」を使って勉強しているはず。

台湾では「繁体字」という日本の旧漢字のようなものを使っているんです。

たとえば、うれしいとか愉快だという意味の「开心」は繁体字だと「開心」に、
体という意味の「身体」は繁体字では「身體」になります。

同じ漢字でも日本では「豊」、中国では「丰」、そして台湾では「豐」と書きます。

日本の漢字と共通する字も多い

たとえば「特別」「運動」「開始」などの言葉は、台湾の國語も日本の漢字も同じ、意味も同じです。

日本人であれば、台湾の漢字をほぼ読めるはずです。

ただし、画数が多く、書くのも読むのもめんどうな文字もありますが…

もう一つの違いは、普通語はピンインで発音を表しますが、國語はボポモフォ(ㄅㄆㄇㄈ)または注音(zhùyīn)と呼ばれる発音記号を使うことです。

ボポモフォは16の母音、21の子音でなり、母音と子音を組み合わせて使います。

たとえば、「你好」のボポモフォは「ㄋㄧˇ ㄏㄠˇ」となります。

台湾の子供たちは、最初、ボポモフォで言葉を覚えます。日本人がひらがなを最初に学ぶのと同じ感覚ですね。

中国語とは発音が違う?

私は日本で中国人と中国語を勉強してから台湾に来たので、最初はとまどうことばかりでした。

というのも、同じ中国語のはずなのに、発音が違うのです。

台湾の中国語は舌を巻かない、そり舌音がないというのは有名ですね。

だから、四(sì)と十(shí)の区別をつけるのが難しいのです。

四と十では声調が違うから分かりそうなものですが、案外、声調がはっきりしないしゃべりかたをする人が多いので、慣れていないと聞き間違えることがあります。

聞き間違っても大丈夫

現地の台湾人たちだって、たまに四なのか十なのか分からない時があるんです!

中国ではよく使う「儿」も台湾では使いません。

どこ?と言う意味の「在哪儿?」や、少しという意味の「一点儿」も、台湾では「在哪裡?」「一點(または一點點)」となります。

そり舌がほとんどないので、日本人にとっては発音しやすく、聞き取りやすいです。

発音そのものが普通語と違うことも

たとえば~と~を意味する「和」という語。
普通語では「hé」ですが、國語だとなぜか「hàn」になります。

~を含むという意味の「包括」は普通語だと「bāokuò」ですが、國語では「bāokuā」です。
そして、ときどき「L」と「N」が逆になることがあります。(福建省の人もLとNが逆になることがありますね)

エアコンという意味の「冷氣」「lěngqì」は「něngqì」と聞こえることがあります。
「něngqì」って何?と聞き返して「日本人はエアコンも知らないの?」と笑われた苦~い思い出があります。

「どういたしまして」は「不用謝」じゃない?

中国語学習中のみなさん、「谢谢(謝謝)」と言ったら、どういたしましてという意味の「不用谢(不用謝)」または「不客气(不客氣)」と答えると勉強しませんでしたか?

台湾では、どういたしましては「不會」です。たまに「不客氣」ということもありますが、「不會」の方をよく使います。

なぜ不會なのか?

「不會(不会)」は「できない」という意味では?

たしかに、「不会」には「できない」という意味もありますが、「謝謝」と言われた時に使う「不會」には、ニュアンスとしては「いえいえ」という感じの意味があります。

ですから、「ありがとう」と言われた時以外にも、褒められた時などにもよく使います。

ですから、語尾を伸ばして「不會~」と言うこともあれば「不會不會」と続けて言うこともあります。

なぜ不會なのか?…不思議ですよね。

台湾語の影響

実は、不會と返すのは、台湾語の影響です。

台湾の言葉の多くは、台湾語の影響を受けています。

台湾語は公用語の國語とは別に、一般家庭でよく話されている言葉です。一般的には台語閩南語と呼ばれます。

さて、不會の由来に戻りますが、台湾語では「多謝(ありがとう)」と言うと、「袂了(ベーラ)」と答えます。

袂了(ベーラ)の袂(ベー)は、「不會」という意味です。

「多謝」「袂了」という台湾語でのやりとりを、國語に訳すと「謝謝」「不會」となるのです。

このように、台湾で話される中国語の多くは台湾語の影響を受けています。

台湾語は台湾独自の言葉ですが、実は日本と非常に関係の深い言語でもあります。

この台湾語については、また次回ご紹介したいと思います。

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